厚生労働大臣活動

【厚生労働委員会における大臣所信】

厚生労働委員会の御審議に先立ち、厚生労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め国民の皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 急速な少子高齢化の進行や厳しい財政状況の中で、これまでの社会保障制度が前提としてきた諸条件は大きく変わりつつあります。このような環境の変化に対応して、我が国の社会保障を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていくため、不断の改革を行っていく必要があります。


 医療保険制度につきましては、国民皆保険を堅持し、将来にわたり持続可能なものとしていくため、予防を重視しつつ医療費適正化に総合的に取り組むとともに、新たな高齢者医療制度の創設や都道府県単位を軸とした保険者の再編統合等を進めてまいります。このため、健康保険法等の一部を改正する法律案を提出したところです。

 また、国民の医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される体制を確立するため、医療機能の分化、連携を一層推進するための医療計画制度の見直し、患者、国民の医療の選択に資するための情報提供の推進、小児科、産科を初めとする医師の偏在問題に対応した地域における医療の確保等、医療提供体制の制度全般にわたって改革を進めてまいります。このため、医療法の一部を改正する法律案を提出したところです。

 年金制度につきましては、平成十六年の改正によって持続可能な制度を構築することができたと考えておりますが、引き続き改革に取り組んでまいります。具体的には、公的年金の安定性と公平性を確保し、国民の安心と信頼を高めるため、被用者年金一元化や社会保険庁改革を推進してまいります。また、年金保険料の二重負担の防止などを目的とする日加社会保障協定を実施するため、厚生年金保険法等の特例等を定める法案を今国会に提出いたします。

 介護保険制度につきましては、将来にわたって国民の老後の安心を支える制度であり続けるよう、昨年成立した改正介護保険法に基づき、予防を重視したシステムへの転換などに取り組んでまいります。

 また、三位一体改革、税制改革等に伴い、児童手当について国と地方公共団体の負担割合を見直すとともに、支給対象年齢を引き上げること、基礎年金の国庫負担割合を引き上げること等を内容とする法案を提出したところです。

 人口減少という局面を迎え、少子化への対応は国民的な重大な課題となっております。このため、若者の自立の促進、男女ともに子育てに十分な時間をとれるような働き方の実現、すべての家庭に支援が行き届くような地域子育て支援対策の充実、経済的支援の拡充などに取り組んでまいります。待機児童ゼロ作戦を引き続き推進するなど保育サービスの充実や、経験豊かな退職者など地域の力をかりて、多様な放課後児童対策の展開を図ってまいります。

 さらに、就学前の教育と保育を一体としてとらえた取り組みを平成十八年度から本格実施するための法案を、文部科学省とともに今国会に提出いたします。

 また、女性が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するとともに、妊娠、出産、育児のために仕事をやめなければならないことのないようにしていくことが、以前にも増して重要となっております。このため、男女雇用機会均等のさらなる推進を図るための法案を今国会に提出いたします。あわせて、子育てする女性の再就職、再就業の支援を充実してまいります。

 雇用失業情勢は、完全失業率が低下傾向にあり有効求人倍率が一倍台となるなど、厳しさが残るものの改善が進んでいるところであります。しかしながら、雇用情勢の改善がおくれ厳しい状況が続いている地域もあるなど、地域差が見られるところです。また、若者については、求人は多いものの、それが就職に結びつかず失業率は高い水準となっているなど、依然としてミスマッチが大きい状況にあります。  このため、地域における雇用創造の自発的取り組みへの支援を充実するなど、雇用情勢が厳しく、改善の動きが弱い地域に重点を置いた雇用対策を実施してまいります。

 若年者雇用につきましては、フリーターの増加傾向の転換を確かなものにするため、フリーター二十万人常用雇用化プランを拡充し、目標を二十五万人に引き上げることとしております。また、社会問題となっているニートの働く意欲を高めるため、若者自立塾事業などを推進するとともに、これら若者をめぐる課題を解決するため、国民運動に取り組んでまいります。

 また、団塊の世代が六十歳を迎える時期を目前に控え、就労意欲を有する高齢者の方々が幾つになっても社会の支え手として活躍できるよう、改正高年齢者雇用安定法の円滑な施行等に取り組んでまいります。

 障害者雇用施策につきましては、就業機会の拡大に向けて、福祉施策との連携のもと、雇用率未達成企業に対する指導強化、きめ細かな職業相談などにより障害者の自立支援に取り組んでまいります。

 人口減少社会を迎える中、経済産業の活力を維持向上するためには、労働者一人一人の能力を高めることが重要であり、若者が物づくり等の現場の戦力となるための職業能力を習得させる実践型人材養成システムの創設、技能継承問題に取り組む中小企業に対する支援等を内容とした職業能力開発促進法及び中小企業労働力確保法の改正法案を今国会に提出いたします。

 さらに、良好な労使関係の維持発展、政労使の意思疎通の促進に努めてまいります。

 健康づくりの推進につきましては、平成十七年度から十カ年戦略として推進している健康フロンティア戦略に基づき、国民の健康寿命を延ばすことを目標とした対策を重点的に展開してまいります。

 食の安全につきましては、去る一月二十日、米国から輸入された子牛肉に危険部位の混入が確認されたため、すべての米国産牛肉の輸入手続を停止しました。二度とこうしたことが起きないよう、米国に対し、原因究明と再発防止を求めております。

 感染症対策につきましては、新型インフルエンザの発生に備え、新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、関係省庁や地方自治体、国際機関とも連携して、万全を期してまいります。  また、生物テロや事故による感染症の発生、蔓延を防止するための病原体等の管理体制の確立、感染症の分類の見直し、結核対策の法的位置づけの見直しなどを内容とする感染症法等の一部を改正する法律案を今国会に提出いたします。

 医薬品の安全対策等につきましては、国民による適切な選択と適正な使用に資するよう、一般用医薬品の販売制度全般の見直しを行うとともに、社会問題となっている違法ドラッグ対策を強化するため、薬事法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたします。

 アスベスト対策につきましては、被害者を速やかに救済するため、石綿による健康被害の救済に関する法律案を今国会に提出し、可決成立したところであります。今後とも政府一体となって、スピード感を持って総合的なアスベスト対策に取り組んでまいります。

 がん対策につきましては、がんの罹患率と死亡率の激減を目指して、がん予防、早期発見の推進、がん医療水準の地域格差の是正等に全力で取り組みます。

 今回の大雪による被害につきましては、災害救助法による支援などにより、引き続き、住民の皆様が一日も早く安心した生活ができるよう努めてまいります。

 障害者福祉施策につきましては、障害者の自立を支援し、地域で安心して生活できるよう、昨年成立した障害者自立支援法の円滑な施行に向けて、施策を展開してまいります。

 援護行政につきましては、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦没者の御遺族や中国残留邦人等に対する支援の充実などに努めてまいります。また、戦傷病者等の妻に対する特別給付金を来年度以降も継続して支給するための法案を提出したところです。

 年金事業等に対する国民の信頼を回復するため、社会保険庁につきましては、平成二十年十月を目途に廃止し、公的年金の運営を担う組織については、厚生労働省の特別の機関としてねんきん事業機構を設置し、政管健保については、国から切り離し、全国単位の公法人として全国健康保険協会を設立する等の解体的出直しを行うこととしております。また、これらとあわせて、サービスの向上、国民年金保険料の収納対策の強化等、さまざまな業務改革を一体的に推進することとしており、このための社会保険庁改革関連二法案を今国会に提出いたします。

 独立行政法人改革につきましては、産業安全研究所、産業医学総合研究所及び国立健康・栄養研究所について、法人の統合や役職員の身分の非公務員化を行うための法案を提出したところです。


 以上、御説明申し上げましたが、今国会において厚生労働省が提出した法案及び提出予定の法案につきましては、一日も早い成立をお願いいたします。


 厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しております。私は、これら諸課題の解決に向けて全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め、皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


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